新興企業の上場は緩和されるか

BCE

ここ数年、株式を新規上場する企業数が低迷していますが、1月8日のMSN産経ニュースによれば、政府は新興企業の上場要件緩和を検討しているそうですね。新興企業の資金調達手段としての「上場」に対するハードルを低くし、上場した企業が調達した資金を積極的に投資に回すことで雇用拡大、景気回復を期待することができるというシナリオです。

ところでその政府案は、米国で2012年4月に施行されたJOBS法を参考にしているそうです。

JOBS法について調べてみますと、内閣府の行政刷新-規制・制度改革に関する取組の中で、昨年11月5日に開催された経済活性化ワーキンググループ(第2回)では、一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会より「成長マネー活性化に関わる規制・制度改革要望のご説明」のプレゼンテーション資料がありました。

その中で日米証券規制の比較がされているのですが、注目したのがJOBS法では内部統制監査報告書の提出を免除していることと直近2年間分の監査済み財務諸表の提供で足りることの2点です。参考になりましたのでクリップしておきます。

成長マネー活性化に関わる規制・制度改革要望のご説明(日本ベンチャーキャピタル協会)

内部統制の整備・構築は企業として必要ですが、制度としての対応(経営者評価のしくみ、外部監査人による監査)となると上場を目指す段階の企業にとっては過度な負担になることも多く、JOBS法のような制度ができれば、新興企業にとって上場のハードルが下がるものと思われます。(内部統制の整備・構築は当然必要ですので、正確にはコースを走りやすくすることで”ハードルが下がったように感じる”ぐらいでしょうか)

なお、日本には2008年の金商法改正で開設が可能となったプロ投資家向け市場というものがあります。東京証券取引所のTOKYO PRO Market等がそれです。この市場で取引される株式や債権の発行者は、既存市場における上場株式等の発行者とは異なり、有価証券報告書、内部統制報告書などの開示書類の提出が不要(取引所規制の情報開示のみ)となっています。理由は詳細な投資家保護規定による保護を受けなくても、自らの責任で投資判断を行える機関投資家等を対象としているからですが、このプロ向け市場の創設は外国企業の東証離れへの対応という目的と合わせて、上記開示書類の作成や監査を負担に感じる新興企業による資金調達の道を開くのではないかという期待がありました。しかし実際には金融危機とその後の資本市場の低迷もありますが、現在上場は3社で上場時の資金調達がなかったり、株式の流動性も低く、当初想定したとおりに市場が機能しているとは言えません。

今回、策定される成長戦略の内容によっては既存の制度の見直しも出てくると思われます。

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Akiyoshi KANEKO

業務プロセスを可視化(モデル化)し、その可視化されたドキュメントを中心においてプロジェクトを推進するアプローチを提唱している。経理・財務分野を主な専門領域として、業務プロセスの改善やシステム構築、組織体制の整備に関するコンサルティングに従事。プロジェクト現場では、「お互いの仕事を理解する」「現状の課題を共有する」「考えていることを相手に伝える」「新しいしくみを共有し実行まで落とし込む」よう関係者間の橋渡し役として活動する。著書『内部統制評価にみる「重要な欠陥」の判断実務』『阻害要因探しから始める決算早期化のテクニック』
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