業務プロセスを可視化するのは論点を共有化するためである(業務プロセスの可視化の意義)

前回のエントリーの中に、「モデル化された業務プロセスを使うことによって、プロジェクトメンバーは共通した認識の下、業務全体を鳥瞰して業務課題に取り組むことができる」と業務プロセスの可視化の意義を説明しました。

このことは、『論点を共有化』することの大事さを伝えています。そして、『プロセスモデリング』のような可視化技法は、論点を共有化したいときに有効なテクニックとなります。

よくある光景(コミュニケーションギャップの発生)

プロジェクトでは次のような『コミュニケーションギャップ』が生じやすいのですが、プロジェクトの当事者として活動した方であれば思い当たることもあるのではないでしょうか。

自部門の業務を中心に考えがちである(視野が狭い)

「自部門の仕事の流れを説明してください」と頼まれても、意外と説明に困ることはありませんか。ましてや、関連する他部門の仕事になると「それは○○部の仕事ですからそこはわかりません」となってしまうのも仕方がありません。

本来の業務ルールと、業務慣習が混在している

「なぜ、その業務をしているのですか」という質問に対して、「前任者がしていたから」ではなく「○○という目的があって、このようなルールでその作業をしています」みたいに回答できますか。

例外的な処理、複雑な処理を誇張しがちである

自分にとってメインとなっている業務と、月に一度の大変な例外処理の説明を同じように話していることありませんか。

専門用語(情報システム、会計など)が苦手である

別の国の人と知らない言語で話をしている感覚になったこと、ありませんか(これは私自身も反省するところあり)。仕事/プロジェクトで必要な知識を勉強することは当然ですが、専門家であればこれから習熟していこうとする人に対してもわかるように説明する努力も必要です。

業界・会社特有の用語を多用する

これも一部の人だけで理解している、理解しているような気になってしまう恐れがあります。

説明・要求に一貫性がない

あれ?と思ったら、前回の打合せの議事録をレビューするところからスタートするのも良い方法です。

業務プロセスの可視化で論点を共有化する

業務改善、情報システムの導入、組織体制の見直しなど、プロジェクトは通常個人の頭の中で一度に認識できる広さを超えた規模になるのが普通です。色々なバックグラウンドを持つ人たちが参加するプロジェクトではプロジェクトの全体像を同じように認識・共有することも困難です。

そこでプロセスモデリングという技法が役に立ちます。

モデル化することによって、個人が理解できる範囲が広がります。プロジェクトで業務プロセスをベースに検討するとよくわかるのですが、「おたくの部門では、こういうことをしているんだ」と理解できたり、「これはこうすべきではないか」と改善提案できたりします。

普段は別の部門の仕事に関心をもったり、ましてや口を出したりすることはなかったのに、モデルを相手にするとそれができてしまうのも不思議ですね。