2013年8月に開示すべき重要な不備などを公表した企業3社

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2013年8月に内部統制報告書において、開示すべき重要な不備などを公表した企業です。経営者の評価結果で、開示すべき重要な不備などがあり内部統制は有効ではないとした企業3社の事例をご紹介します。

開示すべき重要な不備などの概要

KYCOMホールディングス

平成21年3月期から平成24年3月期まで4期の訂正内部統制報告書および平成25年3月期の通期の内部統制報告書において、開示すべき重要な不備(重要な欠陥)があり内部統制は有効ではないとの評価結果を表明しています。

担当の会計監査人の合併(永昌監査法人が太陽ASG有限責任監査法人とH24年7月に合併)後のH25年2月に入ってから過年度の有価証券報告書及び決算短信等の訂正について指摘を受け、平成20年3月期からH25年3月期までの7期の財務諸表を訂正しています。

不備の内容としては次のような事項でした。

  • 固定資産の減損会計の適用について不十分な点があったこと
  • 関係会社株式及び販売目的ソフトウェアの評価にあたり、将来計画の見積りの十分な精査が行われていなかったこと
  • 関連当事者との取引の開示について不十分な点があったこと

株式会社SJI

平成25年3月期の通期の内部統制報告書において、開示すべき重要な不備があり内部統制は有効でないとの評価結果を表明しています。

投融資について取締役会への事前承認手続きないし報告が財務経理部門から適切に行われていませんでした。

不備の内容としては次のような事項でした。

  • 連結子会社における投融資について、海外事業統轄部門および財務経理部門によるモニタリングが適切に行われていなかった
  • 取締役会への事前承認手続きないし報告が適切に行われなかった
  • それらに対して取締役会による牽制機能が十分に働かなかった
  • 統制活動の未成熟やコンプライアンス教育等の不徹底があった
  • その他に、連結子会社の債権について見直しを行ったところ、一部の債権について貸倒引当金が十分でなかった

ハマキョウレックス

平成23年3月期からH25年3月期まで3期の訂正内部統制報告書を提出し、開示すべき重要な不備(重要な欠陥)があり内部統制は有効ではないとの評価結果を表明しています。

元センター長による不正行為が行われていた事実が発覚し、請求書などを捏造して、本社経理部には架空売上を含めた請求金額を報告し提出していたほか、取引先と共謀して実体のない作業を捏造して会社に請求書を提出させ、正当な作業経費として処理させ、かつリベートとして現金を受領していました。

売掛金残高管理、売上管理及び費用管理の各業務プロセスにおいて、担当部署と経理部の相互牽制、モニタリング等が不十分だったとしています。

開示すべき重要な不備の一覧

会社名 決算期 開示すべき重要な不備などの内容 事業年度末日までに是正できなかった理由 開示すべき重要な不備の是正方針
KYCOMホールディングス株式会社 H21.3
H22.3
H23.3
H24.3
H25.3
当社は、内部統制報告制度が導入された平成20年4月より、財務報告に係る内部統制の重要性を認識し、内部統制委員会を設置し、その統括管理の下に内部統制システムを構築してまいりました。従前の期末における外部監査人による内部統制の監査結果も有効であるとの評価でありましたが、平成25年3月期において過去の財務報告について以下の問題点が明らかになり、過年度の決算書類を訂正するとともに、平成20年3月期から平成25年3月期第3四半期までの有価証券報告書及び四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。
(1) 固定資産の減損会計の適用について不十分な点があった。
(2) 関係会社株式及び販売目的ソフトウェアの評価にあたり、将来計画の見積りの十分な精査が行われていなかった。
(3) 関連当事者との取引の開示について不十分な点があった。

以上のことから、当社の全社的な内部統制、全社的な観点で評価する決算財務報告プロセスに関する内部統制及びたな卸資産に係る業務プロセスに関する内部統制に開示すべき重要な不備(重要な欠陥)があったと認識しております。

(1)コンプライアンス意識の醸成、強化
①法令遵守、企業倫理の徹底
②専門家活用の検討
③自己の業務に関する法令等の知識習得、社内規程類の周知徹底
(2)内部統制の更なる強化
①決算財務報告プロセスの見直し
②業務プロセスの厳格な運用
③社内規程類の見直し
④専門的知識獲得のための社員教育の推進
⑤決算作業の適正化、迅速化のための体制の見直し
(3)監査体制の見直し
①内部牽制、日常的モニタリングの徹底
②決算情報共有の迅速化
③専門家活用の検討

株式会社SJI H25.3 当社の連結子会社である中訊軟件集団股份有限公司(SinoCom Software Group Ltd.)における多額の金銭貸付に関連して、当社において社内調査委員会を設置し調査した結果、当社および連結子会社が行った多額の金銭貸借について当社社内規程に定める当社取締役会による事前承認手続きないし報告が一部において適切に行われていないことが判明しました。これをうけて、当社および重要な連結子会社について調査したところ、当社における多額の投融資について取締役会への事前承認手続きないし報告が財務経理部門から適切に行われなかった事案が散見されることが判明しました。これらは、連結子会社における多額の投融資について海外事業統轄部門および財務経理部門によるモニタリングが必ずしも適切に行われていなかったこと、取締役会への事前承認手続きないし報告が適切に行われなかったこと、それらに対して取締役会による牽制機能が十分に働かなかったこと、統制活動の未成熟やコンプライアンス教育等の不徹底によるものであります。
また、連結子会社の債権について見直しを行ったところ、一部の債権について貸倒引当金が十分でないことが判明しました。これらは、会計上の見積り等を決定する際の客観的な実施過程を十分に保持していなかったこと、それに伴い貸倒引当金を合理的に算定することが適時に実施できなかったことによるものです。
よって、当社の全社的な内部統制および決算・財務報告プロセスの一部に関する内部統制に重要な不備があったと認識しております。

本件に係る内部統制の不備の特定は当事業年度末日以降になったことから、当事業年度末日までに是正措置が完了できなかったものです。 (1) 組織構造・業務分担の見直し
親会社における連結子会社の事業管理体制およびグループ財務管理体制の見直しにより、連結子会社の管理部門との連携の緊密強化
(2) 相互牽制力の強化
財務会計および内部統制の知見を有する社外取締役の選任および内部監査部門の財務経験者の増強による財務面での牽制強化
(3) 責任者・責任部門を明確にした組織運営
CFO(最高財務責任者)を任命し財務責任者を明確化。 また各連結子会社の管理監督責任者を明確にした運用につき改めて周知徹底
(4) モニタリング能力の強化
財務部門における連結子会社情報の直接管理の強化充実および連結子会社における親会社取締役会事前承認・報告事項に係る手続きの見直しによるモニタリングの一層の強化
(5) 情報の伝達能力の強化
取締役会議案・報告内容の在り方の見直し、および取締役会議案審議機関である経営会議の在り方の見直し。 また、財務部門によるSJI単体およびSJグループの財務活動状況の経営会議および取締役会への報告内容の充実
(6) リスク評価と対応能力の強化
戦略的経営判断の意思決定プロセスにおける適切なリスク評価と高精度の影響評価の体制・仕組みへの見直し
(7) 企業風土の改善と役職員のコンプライアンス意識の向上
コンプライアンス研修の継続実施と抵触行為への厳正な対応
(8) 会計上の見積りの客観的な実施過程の確保
連結決算処理での貸倒引当金の評価基準適用の厳格化

株式会社ハマキョウレックス H23.3
H24.3
H25.3
当社において、元センター長による不正行為が行われていた事実が発覚いたしました。不正行為の概要を明らかにするとともに、類似事象の有無の確認につきまして、平成25年7月12日に調査委員会を設置し、調査を行いました。当該調査により、架空売上の計上及びリベートの強要・着服が判明いたしました。     
本件に対する当社の対応といたしまして、平成23年3月期以降の決算を訂正し、平成23年3月期から平成25年3月期までの有価証券報告書及び四半期報告書につきまして訂正報告書を提出いたしました。
本件につきましては、不適切な取引を実行した従業員が故意に不正行為を行い会社に損害を与えたことでありますが、売掛金残高管理、売上管理及び費用管理の各業務プロセスにおいて、担当部署と経理部の相互牽制、モニタリング等が不十分であったこと等の統制手続の不備に起因するものと認識しております。

(1) 内部統制の運用ルールの改定
滞留売掛金の確認を各センターから経理部へ担当変更を実施
(2) 定期的な人事異動・ジョブローテーションの実施
(3) 内部監査強化により内部牽制機能の有効性を強化
(4) 内部牽制機能が有効に機能する様サブセンター長の教育の充実
(5) 内部通報制度の改善

Source:開示情報「内部統制報告書」「訂正内部統制報告書」などをもとに作成

注:情報の検索範囲の網羅性については検証していません。あらかじめご了承ください。

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Akiyoshi KANEKO

業務プロセスを可視化(モデル化)し、その可視化されたドキュメントを中心においてプロジェクトを推進するアプローチを提唱している。経理・財務分野を主な専門領域として、業務プロセスの改善やシステム構築、組織体制の整備に関するコンサルティングに従事。プロジェクト現場では、「お互いの仕事を理解する」「現状の課題を共有する」「考えていることを相手に伝える」「新しいしくみを共有し実行まで落とし込む」よう関係者間の橋渡し役として活動する。著書『内部統制評価にみる「重要な欠陥」の判断実務』『阻害要因探しから始める決算早期化のテクニック』
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