ERP比較レポート-SAP、Oracle、Microsoft(Clash of the Titans 2014)

The Clash

ERPベンダー業界の階層構造の一番上に位置するベンダー(Tier1)と言えば、SAP、Oracle、Microsoftの3つです。このTier1の3社は営業体制、巨額の広告投資、ブランド力などから確固たる地位にありますが、米国デンバーのパノラマコンサルティングソリューションズから、この3社を比較するレポート「Clash of the Titans 2014」が公表されていましたので、今回はそのサマリーをご紹介します。

本調査は2012年5月から2013年9月まで同社のウェブサイトから収集し、同期間において31か国400人以上の回答にもとづくデータです。なお、ダウンロードにはメールアドレスなどの登録が必要です。

ERP比較-ベンダー概要

調査データを見る前に、ベンダー3社の概要を見ておきます。

SAP
【概要】
ERPソフトウェアプロバイダーとしてスタートし、今日、ERP市場におけるリーディングプレーヤーとなっている。1990年代と2000年代を通じてアライアンスパートナーと様々な密接な関係を構築した。SAP製品と連携する多数のアドオンプログラムを提供するサードパーティの開発者が豊富である。SAP Business Suiteは、業界固有の機能と拡張性を提供するビジネスアプリケーションである。SAPのコア製品には、SAP Business All-in-OneとSAP Business Oneが含まれる。
【強み】

  • 強力な製品開発機能
  • 受注処理の支援が使いやすい
  • 小売モジュールを統合している
  • 製品の移動が良く見える
  • 品質管理と品質保証の機能が優れている
  • SOXおよび税規制に対応
  • 強力な資金管理機能
Oracle
【概要】
もともとはERP製品(EBS)よりもデータベースの方が知られていた。JDエドワーズやピープルソフト、シーベルCRMなどを買収することによってシェアを拡大していった。Oracle EBSは10以上の製品ラインがそれぞれ個別にライセンスされている複数のモジュールで構成されている。JDエドワーズは特に製造業をサポートし、ピープルソフトはHRとCRMソリューションが最も優れている。
【強み】

  • 強力な財務会計機能
  • 高度な価格設定モジュールにより複雑な価格設定シナリオをサポート
  • Eポータルは顧客とサプライヤーとで容易にやりとりをができる機能を提供
  • ITアーキテクチャーがしっかりしている
  • 製品コンフィグレーターが良い
  • 生産的な活動のための良い機能がある
Microsoft
【概要】
OSとビジネスソフトウェアのサプライヤーとして設立。買収を通じてERP市場に参入した。Microsoft Dynamics GPはシンプルでそのまま使用することを希望する小規模から中規模の企業向けであり、Microsoft Dyanmics NAVはより広範な機能とカスタマイズ機能を必要とする小規模から中規模の企業向けに設計された製品である。Microsoft Dynamics AXの製品は、Microsoft Dynamicsのフラッグシップであり、大規模企業の企業全体を実装対象としている。業界固有の機能を開発するパートナーの大規模ネットワークに支えられている。
【強み】

  • カスタマイズが容易である
  • 高い柔軟性
  • 統合しやすい
  • ユーザーインタフェースが使いやすい
  • マルチカンパニーをサポート
  • 強力な多通貨機能とローカライゼーション機能
  • 物の動きとお金の動きのトラッキング
  • 強いMRPと貿易機能

(Clash of the Titans 2014より抜粋、筆者にて意訳)

ERP比較-サマリーデータ

SAP、Oracle、Microsoftの各ベンダーの評価項目ごとのサマリーデータは次のとおりです。

サマリーデータ

(Clash of the Titans 2014 P23より引用)

SAPハイライト

最初に、SAP Business SuiteについてOracleおよびMicrosoft Dynamicsと比較した場合の特徴として次のデータが読み取れます。

  • 最大の市場シェアを持つ(26%)
  • ショートリスティングレートが一番高い(51%)
  • ショートリスティング後に最終選定される率が一番高い(21%)
  • 導入期間の計画と実際の差が最も小さい
  • 本稼働時の運用の混乱が一番多い
  • 失敗率が一番高い
  • 成功率が一番低い

およそ半分の案件にショートリスティングされて、しかもショートリスティングされると約2割の確率で選定されるというのはすごいですね。

Oracleハイライト

次に、OracleについてSAP Business SuiteおよびMicrosoft Dynamicsと比較した場合の特徴として次のデータが読み取れます。

  • 成功率が一番高い(71%)
  • 投資回収期間が最短(16カ月)
  • 投資回収期間が3年以上の回答が少ない
  • 導入期間の計画と実績の差が一番大きい
  • プロジェクトコストの予算実績差異が一番小さい
  • 本稼働時の運用上の混乱が一番少ない(50%)

成功率が高く、本稼働時の混乱が少ないというのはプロジェクトの品質管理面で重要です。また、投資回収期間が平均16か月で他2社に比べて7カ月以上早期に回収しているのは目立ちますね。

Microsoft Dynamicsハイライト

最後にMicrosoft DynamicsについてSAP Business SuiteおよびOracleと比較した場合の特徴として次のデータが読み取れます。

  • 市場シェアが一番小さい
  • ショートリスティングレートが一番低い
  • 投資回収期間が最長
  • プロジェクトコストの予算実績差異が一番大きい
  • 機能性で40%以上のベネフィットを達成をしたとの回答が一番高い
  • 運用の中断が一番短い
  • 導入期間が最短(12.5ヶ月)

ベネフィット達成40%以上と高い中、導入期間が平均12.5カ月というのは特徴的です(導入期間はSAPよりも6ヶ月、Oracleよりも10カ月以上短い)。

(Clash of the Titans 2014 P24より抜粋、筆者にて意訳および補足追記、なおハイライトのコメントの一部はサマリーデータ以外からの分析結果も含まれますので、詳細はオリジナルのレポートをご参照ください。)

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Akiyoshi KANEKO

業務プロセスを可視化(モデル化)し、その可視化されたドキュメントを中心においてプロジェクトを推進するアプローチを提唱している。経理・財務分野を主な専門領域として、業務プロセスの改善やシステム構築、組織体制の整備に関するコンサルティングに従事。プロジェクト現場では、「お互いの仕事を理解する」「現状の課題を共有する」「考えていることを相手に伝える」「新しいしくみを共有し実行まで落とし込む」よう関係者間の橋渡し役として活動する。著書『内部統制評価にみる「重要な欠陥」の判断実務』『阻害要因探しから始める決算早期化のテクニック』
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