プロジェクトにおける変革管理と抵抗(人が変革に抵抗する12の理由)

企業は立案した戦略の実行にあたって、クリアすべき課題を克服するために様々な社内プロジェクトを立ち上げて取り組みます。プロジェクトというのは一定の期間内に限られたリソースでゴールを達成する活動ですが、プロジェクトないしチームのリーダーを務めたことのある方の中には、変革に対して抵抗に遭い、思うようにプロジェクトが進まない経験をされたことがあるかもしれません。

ご存知のように、このような変革に対して抵抗が起きたときに、感情的に向かい合っても解決することはありません。私が外部の立場で見ている中で、そのような状況にうまく対処しているリーダーの方々に共通しているのが、変革に対する抵抗を受け入れる姿勢です。もちろん、最終的な解決には、そのリーダーの得意なやり方、またその時に最善の方法(根回しやノミニケーション、強権行使などの方法)が用いられますが、大事なのは最初に変革に対して抵抗を受け止める姿勢、つまり余裕にあると思います。

もし「人はどのような理由で変革に対して抵抗するのか」を知っていれば、その状況に置かれたときに感情的にならずに、冷静に受け止めて、適切な対応をとることができるかもしれません。今回は、業務改善や変更管理の専門家であるTorben Rick氏のブログ(12 reasons why people resist change)をもとに、プロジェクトで遭遇するかもしれない、人が変革に抵抗の理由を考えてみました。

Attacking from behind!

  1. 変革の必要性が伝わっていない(プロジェクトのゴールが明確になっていない)から
    プロジェクトのメンバーをはじめ、社内関係者が変革の必要性(プロジェクトのゴール)を理解していないときは、抵抗(今のままで何がいけないの?)が予想されます。どのようなプロジェクトもまず最初にプロジェクトのゴールを設定することが大事ですよね。
  2. 変革後の将来に対する不安があるから
    これもプロジェクトのゴールと関係しますが、プロジェクトの向かう先に対する漠然とした不安があると積極的に関与したくないという気持ちが出てきます。将来に向かって積極的に進むときというのは、一つはその先にあるものを信じることができるときで、もう一つは今の状態のままでいることが逆に将来のリスクになると感じたときではないでしょうか。
  3. 自分のスキルに対する不安があるから
    変革後の組織では求められるスキルが変わってくることがよくあります。それに対応するために、通常、プロジェクトのタスクには移行に向けた教育やトレーニングが入っています。しかし、中には変革に対応するために必要なスキルの習得に不安を感じる人もいて、それがプロジェクトに対する消極的な関与に繋がることがあります。
  4. 古いやり方と繋がりがあるから
    変革後の新しいやり方がどんなに合理的なものであっても、移行するためには、それを社内関係者に説明して、新しいやり方に変更するよう依頼する必要があります。その際、それまでの古いやり方をつくりあげ、社内で教えてきた人たちと向き合わないといけないのですが、そのような人たちと周囲の人たちとの感情的なつながりが抵抗要因になることがあります。
  5. 信頼が低いから
    プロジェクトメンバー(または企業)が、その変革を十分に管理することができない(失敗するだろう)と思った時は、その変革に抵抗する(非協力的になる)可能性があります。
  6. 一時の気まぐれと受け止められるから
    プロジェクトは毎年いくつも立ち上がるけれど、途中でうやむやになることが多いとか、成功したかどうかわからないことが多い、といった企業では、「またプロジェクトか、どうせまたそのうち・・・」というように静観されるかもしれません。プロジェクトにおける変革のイニシアチブが一時のきまぐれであると思われるときも、その変革に抵抗したり、また非協力的な態度をとる要因になります。
  7. 相談されていない/知らされていないから
    今後取り組む変革について、事前にその内容の一部を相談されたり、知らされたりしていると、心理的に変革に対する抵抗は弱くなります。すべてのプロジェクトが内容をオープンにできないと思いますが、特に自分の仕事が影響を受ける可能性があるときに、情報として知らされている人とそうでない人とでは協力の度合いが違ってくるかもしれません。
  8. コミュニケーション不足だから
    変革を管理するためにはコミュニケーションをとることが基本ですが、実際にはそれほど多くを必要としません。しかし、単にコミュニケーションが不足していたことによってプロジェクトに協力を得られない可能性もあります。
  9. ルーチン業務を変更するから
    ルーチン業務は慣れた仕事で安定した環境にいることを実感できます。それゆえに今のルーチン業務は快適だと思う人にとっては、それを変更しなければいけないと知ったときに、抵抗したくなるものです。
  10. モチベーションが低いから
    絶え間なく変革がおこるとき、疲労やキャパシティーオーバーなどによって、全体の流れに協力してしまう(しているように見える)ことがあります。単に変革に圧倒されているだけかもしれません。メンバーの人心まで掌握できていない、モチベーションが低い、このようなときも抵抗要因となる可能性があります。
  11. 変革に対する認識が異なるから
    同じプロジェクトであっても、所属するグループや部門、個人ごとに、変革による影響は違います。ある人はプロジェクトによって将来良くなると感じる一方で、別の人は悪くなるだろうと感じる人もいます。つまり、同じコミュニケーションをとったとしても、変革に対する認識は人それぞれですので、変革への抵抗が、その認識の違いに由来することもあります。
  12. 変革に協力するメリットがないから
    変革をすることによってメリット(プロモーションやボーナスなどを含め)が見えないことが、抵抗する理由となることも十分にあります。

いかがでしょうか。抵抗するには何か理由があるはず、と思って上記12の理由を知っておくと、いざというとき冷静に対応できるかも?しれませんね。

≪参考記事≫12 reasons why people resist change (Torben Rick | May 23,2011)

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Akiyoshi KANEKO

業務プロセスを可視化(モデル化)し、その可視化されたドキュメントを中心においてプロジェクトを推進するアプローチを提唱している。経理・財務分野を主な専門領域として、業務プロセスの改善やシステム構築、組織体制の整備に関するコンサルティングに従事。プロジェクト現場では、「お互いの仕事を理解する」「現状の課題を共有する」「考えていることを相手に伝える」「新しいしくみを共有し実行まで落とし込む」よう関係者間の橋渡し役として活動する。著書『内部統制評価にみる「重要な欠陥」の判断実務』『阻害要因探しから始める決算早期化のテクニック』
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