開示すべき重要な不備の事例(2014年8月公表)

2014年8月に内部統制報告書における開示すべき重要な不備の事例です。経営者の評価結果で、開示すべき重要な不備などがあり内部統制は有効ではないとした企業の事例をご紹介します。

Control

開示すべき重要な不備などの概要

富士通ビー・エス・シー

システム開発に係る収益計上基準として工事進行基準を採用していますが、実際に発生したシステム開発に係る作業工数等を、偽造した受注書類に基づいて計上した架空のオーダに付け替えることによって,①未契約仕掛品として資産に付け替える、また、②架空売上高を計上し,当該架空売上高に係る原価として計上する、といった不正行為がありました。

不正行為に係る動機は部門の売上目標を達成するためであることに加えて、各オーダの原価率を85%未満に維持することがありました。背景には、経営管理指標の目標を必達とする厳しい管理の結果、役職員が強いプレッシャーを感じ得る状況があったとのことです。

また、内部統制(機会)としては、①不正実行者自らが直接、部下の仕事票に実態と異なる工数を入力できた、②得意先の正規の注文書の様式がエクセル等で容易に偽造できるもので、また、捺印される印鑑も担当者の個人印のみであった、③不正実行者のの決裁権限内に収まる金額の取引が多かった、④不正実行者が特定の得意先との関係取引を長年担当していた、といったことがあげられています。

また、正当化という側面では、「少し前倒しで売上を計上するにすぎない」「自分ひとりだけが関与しているわけではない」「取引を拡大すれば過去の付替えを減少させ、状況を正常することができる」のように考えていたとのことです。

上記の結果、会社は、平成22年3月期から平成26年3月期の5期の内部統制報告書について、開示すべき重要な不備があり内部統制は有効ではないと訂正をしています。

開示すべき重要な不備の一覧

会社名
決算期
開示すべき重要な不備の内容
開示すべき重要な不備の是正方針
付記事項
特記事項
株式会社富士通ビー・エス・シー
H26.3、H25.3、H24.3、H23.3、H22.3
平成26年6月26日当社従業員による不正行為が発覚いたしました。当社は直ちに外部の専門家から構成される第三者調査委員会(委員長:宇澤 亜弓 氏)を設置し、調査を実施致しました。当該調査の結果、当社従業員により架空売上の計上及び原価の付け替え等の不正行為が行われており、結果として不適切な会計処理を行っていたことが確認されました。
 これに伴い当社は、過年度の決算を訂正し、平成22年3月期から平成26年3月期までの有価証券報告書、及び平成24年3月期第1四半期から平成26年3月期第3四半期までの四半期報告書の訂正報告書を提出することといたしました。
 本件不正行為は、特定顧客を継続して担当した従業員により受注業務に係る書類の偽造が行われており、これに係わるモニタリングが不十分であったこと等から牽制が有効に機能しなかったことによるものであります。
 以上のことから当社は、全社的な内部統制及びモニタリングにおける脆弱性が当該不正行為の発生を許し、且つその発見に遅れが生じたものと認識しております。
(1)コンプライアンス意識の徹底
(2)内部通報制度の活性化
(3)定期的人事ローテーションの実施
(4)管理部門の連携強化
(5)業務実態の適正な把握
(6)業務実態の適正な管理
(7)外部牽制機能

Source:開示情報「内部統制報告書」「訂正内部統制報告書」などをもとに筆者にて作成

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Akiyoshi KANEKO

業務プロセスを可視化(モデル化)し、その可視化されたドキュメントを中心においてプロジェクトを推進するアプローチを提唱している。経理・財務分野を主な専門領域として、業務プロセスの改善やシステム構築、組織体制の整備に関するコンサルティングに従事。プロジェクト現場では、「お互いの仕事を理解する」「現状の課題を共有する」「考えていることを相手に伝える」「新しいしくみを共有し実行まで落とし込む」よう関係者間の橋渡し役として活動する。著書『内部統制評価にみる「重要な欠陥」の判断実務』『阻害要因探しから始める決算早期化のテクニック』
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