内部統制報告書-開示すべき重要な不備の事例(2014年9月)

2014年9月に内部統制報告書における開示すべき重要な不備の事例です。経営者の評価結果で、開示すべき重要な不備などがあり内部統制は有効ではないとした企業の事例をご紹介します。

Control

開示すべき重要な不備などの概要

グローバルアジアホールディングス

旧社名はプリンシバル・コーポレーションです(ちなみに社名変更は3回目で、プリンシバル・コーポレーションの旧社名がアイビーダイワ、さらにその前は豊国産業です)。H26年7月1日に開示すべき重要な不備があるとした内部統制報告書を提出していましたが、今回、その訂正報告書を提出しています。

前回報告書の記載では、開示すべき重要な不備は、必要かつ十分な専門知識を有する人材を配置できなかったため、開示資料作成プロセスの品質管理が十分でなかったとしています。

今回の訂正内容は、不備の是正方針に関する期末日後の状況の追記でした。適時開示情報と合わせると次のように時系列で整理することができます。

事象の日付 決算体制の変更
4月1日 取締役1名が管理本部長になる
4月27日 財務担当執行役員1名及び開示担当執行役員1名を採用する
5月7日 管理本部長の補佐として、総務担当執行役員1名を採用する
6月27日 定時株主総会にて選任された新任取締役が管理本部長に就任し、総務および財務業務を統括する。上記3名の執行役員は退職する。
7月1日 開示業務専任の担当者が着任する
8月1日 管理本部長を補佐する総務担当者が着任、内部監査室長が非常勤から常勤へ
8月11日 グループ全体の事業運営に関する内部統制を強化するため、事業本長の下に事業本部担当者を採用する

当初の通期の内部統制報告書における不備の是正方針で記載した決算体制を充実させるための人員配置方針について変更があったこと、つまり、定時株主総会で選任された取締役のもと決算体制の刷新を図っていることが、今回の訂正報告書を提出している目的と思われます。

なお、会社は6月に増資した払込資金の行方が不明となっている事実について、社内調査委員会を設置し調査を進め、9月30日に調査委員会報告書を受領しています。

調査委員会報告書では、会社の支出金として認められる以外のもの(使途不明なの物を含む)の金額が192百万円あることが判明し、刑事告訴を検討し当該資金を早急に回収する必要があること、第三者委員会を設置して今回の問題点と今後の改善策を明確にすることなど提言されています。これに関連して第一四半期の訂正四半期報告書が提出されました。

開示すべき重要な不備の一覧

会社名
決算期
開示すべき重要な不備の内容
開示すべき重要な不備の是正方針
付記事項
特記事項
グローバルアジアホールディングス株式会社
H26.3
当社は、信頼性ある財務諸表を作成するために、必要なスキルを持つ人材を確保・配置することに努めてきましたが、当事業年度末日時点において、結果として必要かつ十分な専門知識を有する人材を配置出来ませんでした。このため、事務体制として開示資料作成プロセスの品質管理が十分でなく、当事業年度の連結財務諸表等について、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等と再照合し、表示に関する重要な修正を行いました。
 事業年度の末日までに是正出来なかった理由は、当初、現行体制で対応可能との認識でおりましたところ、評価の結果、十分な体制ではないと判断するに至り、その時点よりすみやかに採用活動を開始いたしましたが、十分な専門知識を有する人材の採用が不芳に終わったためであります。
 一方、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性は認識しており、今後、早期に十分な専門知識を有する人材の採用に努めるとともに、外部委託による専門家の助言および事務支援を活用し、翌事業年度においては、適切な内部統制を整備・運用する方針であります。なお、提出日現在までの実施状況につきましては、平成26年4月1日に取締役1名を管理本部長とするとともに、管理本部長の補佐として、5月7日に総務担当執行役員1名を採用し、また、4月27日に財務担当執行役員1名及び開示担当執行役員1名を採用いたしました。その後、平成26年6月27日第69回定時株主総会にて選任された新任取締役が管理本部長に就任し、総務および財務業務を統括しております。体制変更に伴い、左記執行役員3名は平成26年6月27日をもって退職いたしました。開示業務につきましては、7月1日に開示業務専任の担当者が着任予定となっております。

注:太字は筆者で前回報告書からの追記事項を表す

Source:開示情報「内部統制報告書」「訂正内部統制報告書」などをもとに筆者にて作成

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Akiyoshi KANEKO

業務プロセスを可視化(モデル化)し、その可視化されたドキュメントを中心においてプロジェクトを推進するアプローチを提唱している。経理・財務分野を主な専門領域として、業務プロセスの改善やシステム構築、組織体制の整備に関するコンサルティングに従事。プロジェクト現場では、「お互いの仕事を理解する」「現状の課題を共有する」「考えていることを相手に伝える」「新しいしくみを共有し実行まで落とし込む」よう関係者間の橋渡し役として活動する。著書『内部統制評価にみる「重要な欠陥」の判断実務』『阻害要因探しから始める決算早期化のテクニック』
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