業務フローでプロジェクトの現状分析コストをセーブする

連鎖

業務改善や情報システムの導入プロジェクトを立ち上げるたびに現状分析フェーズを繰り返す・・・決して珍しいことではありません。

現状を正しく認識しないままプロジェクトを進めたときに手戻りをするリスクを考えれば、たとえ現状分析に2-3ヶ月費やしたとしても見返りは十分あります。ただ、内部メンバーのみならず外部専門家による分析コストには時間的・経済的な負担も小さいとは言い切れません。

このような現状分析のためのコストをセーブする方法の一つが、現状の業務運用実態を表したドキュメントの活用です。

上場会社等に導入された金商法の内部統制評価報告制度の下で、業務フローなどの可視化文書を維持管理する必要性が高まったこともあり、一部の会社では業務改善や情報システムの導入プロジェクトにおいて、現状分析の重要なインプット資料になっています。

ここでいう”業務運用実態を表したドキュメント “は、いわゆる3点セット(業務フロー、業務記述書、リスク・コントロールマトリクス)と呼ばれるドキュメントを指します。

私もこの手のプロジェクトのときに、対象となる業務プロセスを可視化した既存の文書があると思われるときには最初にそれを依頼するようにしています。

ところが、これまでも複数のプロジェクトでそうだったのですが、内部統制の既存文書を依頼した際に、3点セットのうち業務フローを作成しておらず、業務記述書とリスク・コントロールマトリクスの2点セットのみ入手できることがありました。

もちろん業務記述書やリスク・コントロールマトリクスでも、会社の業務の内容を理解することはできます。しかし、問題を分析して課題を設定する作業となると違ってきます。

業務フローでは業務機能の内容を詳述するよりも、インプットを価値あるアウトプットに変換するしくみをその表現上重視します。粒度としての曖昧さは許容される一方で、業務機能の連鎖については緻密さが要求されます。

業務記述書は逆ですね。業務機能の内容はわかる範囲で詳細に記述する、その代わり業務機能の連鎖については曖昧であっても許容される、そんな感じです。

昔、先輩コンサルタントが「業務フローは矢印を1本引くのに、ものすごく悩むときがあるよ」と言ってくれたことが私には印象に残っているのですが、たしかにそういった感覚は業務記述書の作成にはありません。

2点セットしかないプロジェクトの現場でどうしたのかと言いますと、結局、業務フローを描くことにしました。業務記述書もあって、かつ、自分で作成する限りはそれほど時間がかかるものではありませんので。

ただ、その業務フローもプロジェクトの作業成果物(ワークペーパー)に過ぎませんので継続してメンテナンスをされることはありません。

したがって、プロジェクトにおける現状分析フェーズのコストをセーブするという点については解決されないと思います。

このように内部統制の文書化作業をしても業務フローは作成しないとか、業務フローを作成しても内部監査や内部統制監査でしか利用されない会社は少なくないと思います。

せっかく法制度による後押しがあるのですから、業務フローような現状の業務運用実態を可視化したドキュメントを継続して維持管理できるようになると、業務改善や情報システムの導入プロジェクトで現状分析資料として活用することができるのですけれどね。

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Akiyoshi KANEKO

業務プロセスを可視化(モデル化)し、その可視化されたドキュメントを中心においてプロジェクトを推進するアプローチを提唱している。経理・財務分野を主な専門領域として、業務プロセスの改善やシステム構築、組織体制の整備に関するコンサルティングに従事。プロジェクト現場では、「お互いの仕事を理解する」「現状の課題を共有する」「考えていることを相手に伝える」「新しいしくみを共有し実行まで落とし込む」よう関係者間の橋渡し役として活動する。著書『内部統制評価にみる「重要な欠陥」の判断実務』『阻害要因探しから始める決算早期化のテクニック』
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