グローバルレベルのシェアードサービスも推進キーワードは標準化である

11/27にSAPジャパンが主催するセミナー「グローバル競争力強化に向けたファイナンス組織/業務の変革~企業のグローバル化を経理・財務が支える~」に出席してきました。米国プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)社でグローバルシェアードサービスの設立・展開をリードされた方のお話が聞けるとのことで、個人的にグローバルレベルでシェアードサービスを導入したプロジェクトの経験がなかったのと、特定の一国内にシェアードサービスを導入する場合と比較して、どこが同じでどこが違うのかという観点で興味深く聞きました。

シェアードサービスの導入にあたって「業務プロセスを標準化すること」「情報システムは整理・統合すること」といった成功のための勘所は、(難度は高いと思いますが)グローバルでシェアードサービスを展開するときも同じでした。一方で、地域の分け方・ロケーション選定における判断基準にはタイムゾーン・法規制・言語などグローバル特有の要素がありました。あと感想として、日本ではシェアードサービス化したとき集約対象となった業務を担当していた従業員をシェアードサービス組織に受け入れる(転籍・出向)ことが多いと思いますが、再配置やアウトソーシングの活用などかなりドライに対応しているな、と感じました。このあたりは長期雇用を前提とする日本の雇用環境との違いに起因すると思います。

(以下、メモ)

  • 約4年間でグローバル展開を実施
  • 6ヶ月の標準化期間をもうけた(ペルーでパイロット)
  • その後メキシコ、日本、カナダ、西ヨーロッパ諸国・・・と展開
  • シェアードサービス設立前は国毎のローカルルールで運用されるプロセスであったのをシェアードサービス化と同時にグローバルで標準化した
  • 標準化に伴う抵抗は大きかったが、標準と違うプロセスをしてもいいと思わせないことが大事(プロセスに従わなければサービスを受けることができない、そのプロセスを運用できるようにトレーニングする)
  • 既存のプロセス、システムを活かすことはかえって標準化の阻害要因になる
  • 単純化、標準化を優先するが、そのためには初期投資が必要となる
  • 国(グループ)ごとに一括導入した(事業を中断させない)
  • 全世界を3つの地域に分けた(タイムゾーン、HQとの距離、言語などを考慮)
  • 法規制などがあれば別途拠点を設立(中国の広州を例、但しガイダンスは地域統括拠点[ここではマニラ]から出すようにした)
  • 一部の業務はアウトソーシングを利用したが、条件はシェアードサービスと同等以下のコストであること、また内部で人材を育成する必要がない業務に限定
  • キャリアパス、モチベーションはHDとは異なる
  • グローバルでプロセスオーナーを置いた
  • 移行時は既存の社員がシェアードサービスの拠点へ引き継ぎのため一定期間滞在
  • 引継ぎ後、その社員は他部門へ再配置するケースが多く、一部定年退職、転職する人もいる
  • サービス料金は、当初メニューを提供しアクティビティベースで課金しようと考えたが、煩雑なためコストベースで簡易な基準で配賦することにした