有価証券報告書等の提出期限延長が認められる「やむを得ない理由」とは(金融庁がパブリックコメント募集)

金融庁は3月27日「監査における不正リスク対応基準」の設定に伴う環境整備等のため、「企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)」の改正案および「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」を公表しました。

有価証券報告書等の提出期限延長が認められる「やむを得ない理由」とは

不正リスク対応基準案の検討過程において、証券取引所の上場廃止ルール(監査報告書[又は四半期レビュー報告書]を添付した有価証券報告書[四半期報告書]について、提出期限の経過後1か月以内[天災地変等、上場会社の責めに帰すべからざる事由によるものである場合は3か月以内]に提出しなかった場合に上場廃止事由に該当)に及ぼす影響が懸念されていました。

金融庁の案では、下記の理由により有価証券報告書等を提出期限までに提出することができないと認められる場合には、提出期限延長の承認を行う、としています。

  1. 天変地異、大規模なシステムダウン等の発生
    電力の供給が断たれた場合その他の理由により、当該発行者の使用に係る電子計算機を稼動させることができないことによる債務未確定等を理由として、提出期限までに財務諸表又は連結財務諸表の作成が完了せず、又は監査報告書を受領できない場合
  2. 民事再生手続開始の申立て等
    民事再生法に基づく再生手続開始の申立てによる債務未確定等を理由として、提出期限までに財務諸表又は連結財務諸表の作成が完了せず、又は監査報告書を受領できない場合
  3. 過去に提出した有価証券報告書等に虚偽の記載が発見され、過年度の連結財務諸表等の訂正が必要であること
    過去に提出した有価証券報告書等のうちに重要な事項について虚偽の記載が発見され、当事業年度若しくは当連結会計年度の期首残高等を確定するために必要な過年度の財務諸表若しくは連結財務諸表の訂正が提出期限までに完了せず、又は監査報告書を受領できない場合であって、発行者がその旨を公表している場合
  4. 連結財務諸表等に虚偽表示の疑義が発見され、監査人がその内容を確認する必要があること
    監査法人等による監査により当該発行者の財務諸表又は連結財務諸表に重要な虚偽の表示が生じる可能性のある誤謬又は不正による重要な虚偽の表示の疑義が識別されるなど、当該監査法人等による追加的な監査手続が必要なため、提出期限までに監査報告書を受領できない場合であって、発行者がその旨を公表している場合
  5. 外国会社が、本国の法令等により、提出期限までに有価証券報告書等の提出ができないこと
    法第24条第1項各号に掲げる有価証券の発行者が外国の者である場合であって、当該者の本国の計算等に関する法令又は慣行等により提出期限までに有価証券報告書を提出することができない場合

3、4の場合、その理由を証する書面に加え、監査法人等の意見・代表者の認識・早期に提出するために実施する方策も確認するとし、提出期限を1月以上延長する旨の承認を行おうとする場合には、企業情報が開示されないことによる投資者への悪影響に配慮して、財務諸表等に重要な虚偽の表示が生じる可能性のある誤謬又は不正についての確認を行っているか、過去に提出した有価証券報告書等の重要な虚偽記載を自認し、その解決及び是正に向けた真摯な取組みを早期に表明しているかなど、発行者による情報開示の状況も考慮した上で、その期間の妥当性について判断するとしています。

不正リスク対応基準の適用範囲及び適用時期を明確化

また、同日金融庁は、不正リスク対応基準の適用範囲及び適用時期を明確化するために監査証明の手続に関する規定の改正案を公表しています。

一般に公正妥当と認められる監査の基準として次の5つの基準を列挙したうえで、不正リスク対応基準についてその適用範囲を限定しています。

  1. 監査基準
  2. 中間監査基準
  3. 監査に関する品質管理基準
  4. 四半期レビュー基準
  5. 監査における不正リスク対応基準

5については、有価証券報告書提出会社のうち、最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円未満又は最終事業年度に係る損益計算書による売上高の額もしくは直近3年間に終了した各事業年度に係る損益計算書による平均売上高の額のうちいずれか大きい方の額が10億円未満であり、かつ、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円未満である会社を除く、とされています。

また、適用日については次のように定めています。

  • 財務諸表及び連結財務諸表の監査については、平成25年4月1日以後開始する会計期間から適用
  • 中間財務諸表及び中間連結財務諸表については、平成26年9月30日以後終了する中間会計期間から適用
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Akiyoshi KANEKO

監査法人に勤務。組織内では、テクノロジー・ソリューションの企画・開発、構築局面における推進、運用局面におけるサポートの統括を担当。AWSの仮想デスクトップサービスであるWorkSpacesとGoogleのChromebookを組み合わせたセキュアなデスクトップ・ソリューションの構築を始め、様々なクラウドサービスの導入を推進。顧客企業向けに、マネジメント系のコンサルティング業務にも従事。