開示すべき重要な不備の事例(2014年1月公表)

2014年1月に内部統制報告書における開示すべき重要な不備の事例です。経営者の評価結果で、開示すべき重要な不備などがあり内部統制は有効ではないとした企業の事例をご紹介します。

開示すべき重要な不備などの事例(概要)

京王ズホールディングス

内部統制報告書によれば、是正すべき外形的事情が残存しており、当社と前代表取締役との関係性に係る疑義を払拭できないことから、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす可能性が高い(全社的な内部統制の不備がある)とのことです。同社はH21年10月期~H23年10期の訂正を含む内部統制報告書において「意見不表明」としています。また、H24年10月期の内部統制報告書においては「開示すべき重要な不備」があるとし、そしてH25年10月期においても、開示すべき重要な不備があり内部統制は有効ではないとの評価結果を表明しました。監査法人側の事情もありますが、一昨年(清和→ハイビスカス)に引き続き、昨年も監査法人に異動(ハイビスカス→アリア)がありました。

開示すべき重要な不備などの事例(一覧)

会社名
決算期
開示すべき重要な不備の内容
開示すべき重要な不備の是正方針
付記事項
特記事項
株式会社京王ズホールディングス
H25年10月
当連結会計年度末日時点において、当社と前代表取締役及びその個人会社らとの間に、下記の是正すべき外形的事情が残存しており、当社と前代表取締役との関係性に係る疑義を払拭できないことから、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす可能性が高いため、全社的な内部統制に開示すべき重要な不備が認められると判断いたしました。したがって、当連結会計年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

(1) 前代表取締役が時折当社に来社しているという事情
(2) 前代表取締役の個人会社の一つにつき、その本社住所が当社の住所と同じであるという事情 (3) 当社の連結子会社の一つにつき、その株式の全部を前代表取締役の個人会社の一つが保有しているという事情
(4) 過去になされた、前代表取締役の個人会社の一つと当社(吸収合併消滅前の子会社)との間の不動産売買契約に基づき、当該不動産の所有権者を当社とする所有権移転登記手続が未了であるという事情
(5) 前代表取締役及びその個人会社らに対する貸付金を担保するための、前代表取締役の個人会社の一つが保有する株式に係る質権設定契約に基づく質権設定手続が未了であるという事情 以 上
上記内部統制の不備が、当連結会計年度末日までに是正されなかった理由は、当該外形的事情が当社の意思のみによって解消できるものではなく、相手方の協力及び任意の実施を求めて交渉を続けてきたことにより、是正手続の実施が当事業年度末日以後となったためです。
なお、当連結会計年度末日以降本報告書の提出日までの間に、上記外形的事情の大部分((1)乃至(4))については、疑義は払拭されております。したがって、本報告書の提出日において、当社の内部統制の整備及び運用の状況は、有効であると評価いたします。
上記(5)については、引き続き質権設定手続への協力を求めるとともに、顧問弁護士を交えて、法的措置も含めた種々の債権保全措置を検討いたします。
当社グループは財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を認識しており、引き続き全社統制及び業務処理統制の強化・改善を行ってまいります。

Source:開示情報「内部統制報告書」「訂正内部統制報告書」などをもとに筆者にて作成