ITmediaのTechTargetジャパンからERPの初期導入時の標準的なコストモデルの分析が解説されています。
本解説記事は「ITR Market View:ERP市場2012」の調査内容から作成されています。マクロなアプローチでコスト感覚がわかりやすく解説されており、自社のRFP(提案依頼書)に対するベンダーからの回答内容を評価する際の参考になります。
(以下、メモ)
標準的なコストモデル
調査対象19製品の中央値でみた標準的なコストモデルはライセンス費用を1(25%)とした場合のハードウェア費用の比率が半分の0.5(12%)、サービス費用の比率が2.4(59%)となっている。サービス費用とは導入費用、コンサルティング費用、カスタマイズ費用、追加開発費用などを指す。
※補足
以下を除外している。
・SAP ERP、Oracleなどの大企業向け海外製品(コストモデルを公表しないため)
・会計のみ、人事給与のみで導入されることが多いパッケージ(会計以外の販売・生産での実績が多い製品で比較)
・中小企業向けPC版パッケージ(ライセンス費用の割合が40%と高いため)
このライセンス比(1:0.5:2.4)は個人的なプロジェクト経験から見てもあたっていると思います。
変動要素としては、
・システムの性能要件が厳しいとハードウェアの割合が高くなる。
・現場入力や申請から承認のワークフロー、予算実績データの従業員による照会などを実施する場合に、サーバーライセンスやエンジンライセンスでなく、ユーザーライセンス体系のパッケージを導入すると高くなる。
・共通事項として、カスタマイズやアドオンなどの追加開発が多いとサービスの占める割合が高くなる。
と解説しています。
大企業向けERPのコストモデル
アドオンを含めたERPのコスト構造の代表例としてSAPでは同比率が1:0.5:5.9、Oracleでは1:0.7:5.9となっている。
※補足
・追加開発費用算出の対象はインタフェース、画面・帳票、処理ロジックなど、500機能を超えていた。
・ライセンス費用1に対してサービス費用が5を上回る場合は、かなり複雑で難易度の高いシステム構築であるとの目安になる(10を超えると失敗プロジェクトになるリスクが高い)。