先日、神大植物公園に行ったときはスイレンが咲いていました。写真は熱帯スイレンです。温帯スイレンと違って、熱帯スイレンは水面から10数センチ立ち上がって花をつけます。葉も切れ込みのあるギザギザの葉が特徴です。
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新型コロナウイルスの感染拡大は、出張制限や対面会議の規模縮小など、ビジネス全般にわたって従来のやり方の見直しを迫ることになりました。組織や従業員の安全性を確保する一方で、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方により、従来と違う発想で事業の生産性を向上していくことが求められる時代になりました。
その分かりやすい取り組みの第一歩がテレワークであり、今後の企業経営に大きなインパクトをもたらすと考えられています。緊急事態宣言下で強制的に実施された在宅勤務で表面化した課題を克服し、これをニューノーマルに備える変革の好機と捉え、多くの従業員がテレワークで適切なツールを利用できれば、オフィスで働いている時と同じか、もしくはそれ以上に仕事に集中し生産性を高めることができるかもしれません。
このような中、新型コロナウイルス感染症の影響で需要が高まるテレワークの普及を後押しするのが「企業システムのインフラのクラウド化」です。
経営トップが自社のインフラをクラウドへ移行するかどうかを意思決定する際に、オンプレミスとの比較や費用対効果を目的にクラウドへの移行コストを整理させることはよくありますが、それに加えて次の事項(メリット)をよく吟味するのが良いと思います。
- 安全なリモートワーク環境を整える
- 大規模災害、パンデミックなど発生時において業務を継続する
- 優秀な人材を確保する
これらは金額に換算して効果を測定するのではなく、関連するリスクが顕在化したときのインパクトの大きさを考える必要があるものです。まさに、「お金では測ることができない、企業のシステムインフラをクラウドへ移行するメリット」と言うことができます。
1つ目のリモートワーク環境について、リモートワーク環境が整わない状態で、従業員が在宅勤務をすると、自宅から資料にアクセスしたくてもできないことがネックになります。そのため、従業員が重要な紙資料を自宅へ持ち帰る、個人所有PCで業務を行うといった可能性が出ます。
従業員が業務に必要なタイミングで、必要な資料を閲覧できる環境を整えることは、情報漏えいのリスクを軽減するために重要です。これは従業員を情報漏えいリスクから守るために経営トップがすべきこととも言えます。
ここでいう”安全な”というのは、不必要にリスクを分散させないということです。重要な情報資産をクラウドに移行する際にリスクを集約できれば、そのリスク管理策も重点的に手を打つことができます。
もっとも、無事インフラをクラウドに移行したとしても、完全なペーパーレスは難しいと思われますので、安全なリモートワーク環境が大事であることを認識しつつ、紙資料ベースの業務については、常に、「本当にデジタル化できないか」「どうすればペーパーレス化できるか」など客観的に自分たちの業務を見直す機会を促すことが必要です。
次に、今回、多くの企業で経験をした在宅勤務は、たまたま新型コロナウイルスの緊急対策として実施しましたが、今後もこのような緊急事態が発生することは十分に考えられます。今回のような感染症対策以外にも、大規模震災、大型台風・大雪といった気象災害、交通インフラ障害など、いざという時に緊急連絡網を流すだけですぐにリモートワークに切替えるといったようにです。
インフラをクラウドに移行することは、”時間や場所に制約されない”事業遂行環境を整えることでもあります。経営トップとしては、従業員の生命を第一に考える、危険を冒してまで出社させない、それでいて災害時も事業継続できることを目指すものだと思います。
最後に、テレワークは業種・職種によって導入のしやすさや普及の度合いは変わりますが、現代の雇用においては単に給与や福利厚生の内容だけでなく、これまで述べたように「セキュアにテレワークが出来る職場か」「時間や場所に制約されない働き方が出来る職場か」なども、求職者にとっては非常に大きな判断材料となっています。
経営トップは、IT技術を活用しながら優秀な人材の確保・定着に後れをとらないよう、積極的にテレワークを取り入れていくべき(クラウド化はそれを後押しするもの)かと思います。
ここにあげた3つのメリットは、無理やりに金額換算できなくもありませんが、素直にクラウド化は人に対する投資と考えると良いと思います。
もしくは保険と言い換えても良いでしょう。「在宅勤務で会社から持ち出した資料を紛失して情報が漏えいした」「地震で機器が破損し、重要ファイルを喪失してしまった」などリスクが顕在化したときのインパクトの大きさを考えるとクラウドに対する投資対効果の見方も変わってくると思います。