内部統制報告書-開示すべき重要な不備の事例(2012年9月)

2012年9月に公表された内部統制の開示すべき重要な不備です。6月決算会社で2社ありました。

会社名
取引所
決算期
開示すべき重要な不備の内容
事業年度末日までに是正できなかった理由
開示すべき重要な不備の是正方針
連結財務諸表等に与える影響
財務諸表の監査報告における監査意見
付記事項/特記事項
株式会社ゲートウェイホールディングス
JASDAQ
H24.6
統制環境
各種規程(例えばガバナンス規程等)の更新、新規制定が行われておらず、財務報告に係わる経営者の指示が適時、適格に、管理者及び担当者に伝達できていなかった。また付随する必要投資・教育が不完全であった。また、社内イントラネットの実装が遅延することによって、当該内部統制目的の構成員の共有、各種情報管理のナレッジ共有が満足になされなかったことが大きな要因である。
リスク評価と対応
各種規程はあるものの、現状に準じた最新のものに更新されておらず、現状に合わせた文書化がされていない。組織的な識別したリスク評価を正しく分析する活動は行われておらず、当事者のみの状況となっている。
モニタリング
PDCAサイクルのC(検証)のモニタリングが、日々刻々と変化する案件内容に結果的にキャッチアップできず、決裁権限の社長への集中、また情報共有が稚拙になることで構成メンバーの度重なる入れ替えを誘因し、監視評価機能を行う十分な部署、人員配置も行われなかった。
当社及び関係会社において、担当役員及び経理担当者の著しい変化がおきたことにより、当事業年度末日までに十分な引継ぎと是正にあたる準備ができなかったため。
①コンプライアンス規程の刷新
②業務連絡会議規程の新規制定
③内部通報規程の新規制定
④当社グループイントラネットの情報共有のためのインフラ投資(実装は平成25年6月期)
なし
無限定適正意見
リアルコム株式会社
東証マザーズ
H24.6
親会社
当社の決算・財務報告プロセスに係る内部統制で期中株式交換に伴う会計処理に誤りがあった。企業再編等の非定型的事案における会計処理の誤謬を防止及び発見するチェック体制が十分に機能していなかったことによる。

子会社
(1)全社的な内部統制
規程類を整備・周知したものの、徹底するには至らず、結果、モニタリング及び承認プロセスが有効に機能したと評価することができない。
ⅰ.合弁会社設立にあたって、当社及び同社の取締役会への事前報告及び承認手続を経ずに会社の設立が行われた。関係会社設立に必要となる事業計画作成・検討、合弁パートナーとの株主間契約の協議・検討、役員候補等の関連当事者の信用調査を行っていなかった。
ⅱ.関連当事者取引で利益相反取引に係る取締役会の承認決議を経ずに貸付が行われていた。
(2)業務プロセスに係る内部統制で販売プロセス購買プロセスにおいて適正な収益及び費用計上に必要な証憑書類の入手が徹底されておらず、また受注・発注に必要な契約内容の検討及び承認手続の運用も不十分となっていた。棚卸管理プロセスについても在庫受払いの管理が適切に行われていなかった。
(①につき)事業年度末近くで発見されたものであり、是正する時間的猶予がなかったため。
(②につき)株式交換が期中に行われたため内部統制の構築、整備が遅れたこと及び当該取引実施後に発見ないし取締役会に報告されたため是正する余地がなかったこと、また、新規に立ち上げた事業におけるビジネス及び経理の知識・経験を有した者を当該手続きに従事させることができなかったため。
①当社及び連結子会社の方針、規程、運用ルールの見直し、改訂
②方針、規程、運用ルールの当社グループ役職員への周知徹底
③業務プロセスの見直し、ITの導入、運用の厳格化
④内部統制改善のための体制、組織の強化⑤内部監査等のモニタリングの強化
なし(監査法人指摘の誤謬や遅延は適切に処理済み)
無限定適正意見
なし

Source:開示情報「財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ」「内部統制報告書」をもとに筆者にて要約

注:情報の検索範囲の網羅性については確保されていません。あらかじめご了承ください。