2013年10月に開示すべき重要な不備などを公表した企業

2013年10月に内部統制報告書において、開示すべき重要な不備などを公表した企業です。経営者の評価結果で、開示すべき重要な不備などがあり内部統制は有効ではないとした企業の事例をご紹介します。

開示すべき重要な不備などの概要

クリーク・アンド・リバー

9月27日に連結子会社における不適切な取引及び会計処理に関する内部調査報告についてを開示し、平成24年2月期第2四半期から平成26年代四半期までの過年度の決算短信等の訂正を行っています。10月11日に平成24年2月期とH25年2月期の訂正内部統制報告書を提出し、開示すべき重要な不備(重要な欠陥)があり内部統制は有効ではないとの評価結果を表明しました。

問題となった連結子会社リーディング・エッジ社のECマーケティング事業部の具体的な取引は次の3つです。

  1. 特定の取引先である甲社との架空・循環取引
  2. 甲社以外との取引先との間における作業実態のないスルー取引
  3. (売上計上していないものの)仕掛品の回収可能性が乏しい取引

①は甲社から受注した開発委託等の業務に関する売掛金につき、支払遅延が発生し回収できない状況がありました。3億円を超える売掛金の回収問題を調査したところ、子会社と取引先との間における取引について架空取引・循環取引であることが判明しました。当該事業部では社員1名のみが所属し実務を担当していることから、不正行為に対する社員間の相互抑制の効きにくい状況にあったようです。取引は甲社への資金繰り支援の目的で行われていた蓋然性が高く、また甲社からの受注額の5%を子会社が利益として獲得できること、甲社からの受注総額をもって売上計上することによって当該事業の業績向上も目的としていました。

②は取引窓口として子会社が定額割合の手数料相当額を取得し、実作業はほとんどすべて他の下請業者等が行う、スルー取引でした。子会社では発注元からの受注額総額をもって売上金額として計上する処理が行われていました。

開示すべき重要な不備の一覧

株式会社クリーク・アンド・リバー社

会社名
決算期
開示すべき重要な不備の内容
事業年度末までに是正できなかった理由
開示すべき重要な不備の是正方針
連結財務諸表に与える潜在的な影響
付記事項、特記事項
株式会社クリーク・アンド・リバー社
H24.2 H25.2
当社は、連結子会社である株式会社リーディング・エッジ社(以下「LE社」という。)のECマーケティング事業部(以下「EC事業部」という。)において、不適切な取引が行われていた疑いが発覚したため、平成25年8月28日に開催された当社取締役会において、当社代表取締役を委員長とし、外部専門家(弁護士及び公認会計士)を委員に加えた内部調査委員会(以下「当委員会」という。)を設置し、平成25年9月27日に、当委員会から調査報告書の提出を受けました。
当委員会より受領した報告書により、LE社EC事業部において不適切な取引が行われていたことが明らかになりました。
この結果を受け、当社は当該不適切な会計処理の内容及び原因、過年度決算への影響額、再発防止策等について調査及び検討を行い、過年度の決算を修正するとともに、平成24年2月期及び平成25年2月期の有価証券報告書、並びに平成24年2月期の第2四半期から平成26年2月期の第1四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。
これらは、子会社役職員のコンプライアンス意識の欠如及びモニタリング機能が不十分だったことにより当該不適切な会計処理が行われ、且つその発見に遅れを生じさせたものであり、全社的な内部統制が有効に機能しなかったことによるものと認識しております。以上のことから、当社および子会社における全社的な内部統制に関する不備は、開示すべき重要な不備(重要な欠陥)に該当すると判断しました。
(1) 子会社におけるコンプライアンス規程・意識の周知徹底
グループ・コンプライアンス・ポリシーの浸透を図るため、各社の事業特性に応じた問題事例等を研究する機会を設け、子会社役員及び社員のコンプライアンス教育の強化、意識の向上を図ってまいります。
(2) 子会社における与信関連規程の整備・運用の徹底、個々の取引に関するチェック体制の確保
子会社の規模及び事業形態を踏まえた与信関連規程の見直しを行うとともに、管理監督者に対する意識付けを徹底してまいります。
(3)子会社取締役会・監査役の機能強化
子会社における取締役会規程の見直しを行うとともに、必要に応じて役員構成の見直しを行ってまいります。
(4) 内部監査・モニタリングの機能強化
子会社における内部監査機能を整備していくとともに、当社における内部統制機能を強化してまいります。
(5) 取締役、監査役、会計監査人及び内部監査部門相互の連携
これまで以上に監視・監督機能を果たす機関・組織が相互の連携を密にすることで、より効果的な内部統制機能の改善・強化を図ってまいります。

Source:開示情報「内部統制報告書」「訂正内部統制報告書」などをもとに作成

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