目指すべきは価格競争による市場拡大ではない

日本公認会計士協会は「監査時間又は時間当たりの監査報酬の額について合理的な理由がなく前年度に比し著しく減少している」事案について調査を実施しているとのことです。これは会長声明「適切な監査時間及び監査報酬について」で記載されていた内容です(会員専用サイトメニュー)。

『監査時間又は時間当たりの監査報酬の額』が自然に『減少している』ことはありませんので、当然『誰が』『何故』という話になります。このあたりは調査結果として公表されると思いますが、個人的には、(あくまでも一つの側面としてですが)監査法人側が価格競争によるシェアの拡大を追及している傾向を感じます。

このまま厳しい価格競争を演じて、シェアの拡大を追求し続ける先には何があるでしょうか。

今の監査業界を市場拡大と価格競争の観点からみると次のような市場となっています。

    • 監査サービスを提供する側は監査を受ける企業から報酬をもらう(倫理規則における監査報酬の規定はあるものの、価格設定は当事者間の契約で決まる。)
    • 上場会社の数からみた市場規模の拡大は止まっている(今年IPOする会社は増えていますが、それが今後激増するとか、中長期にわたって持続するかは不明であるほか、合併・買収やMBOで上場会社数が減っている事象もある。)
    • 監査サービスそれ自体では差別化が難しい(類似したサービス)

市場規模が成長段階ならば、すべての監査法人が成長路線に乗れますが、市場拡大が止まると、シェア争いに転じ、それは価格競争へとつながります。

価格競争をしかけたり、サービスメニューを増やしたりして規模の獲得に走ることで、勝てる法人は売上(利益)が増えて業界シェアも伸びますが、一方でシェアの獲れない(特に中小規模の)監査法人にとって行きつく先には・・・。

一般の事業会社であれば新技術・ビジネスモデルの開発を、となりますが、監査法人の場合は何でしょうか。追及すべきは価格競争による市場拡大ではないということは明らかだと思います。

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Akiyoshi KANEKO

監査法人に勤務。組織内では、テクノロジー・ソリューションの企画・開発、構築局面における推進、運用局面におけるサポートの統括を担当。AWSの仮想デスクトップサービスであるWorkSpacesとGoogleのChromebookを組み合わせたセキュアなデスクトップ・ソリューションの構築を始め、様々なクラウドサービスの導入を推進。顧客企業向けに、マネジメント系のコンサルティング業務にも従事。