東証平成27年3月期決算発表状況から読む早期開示への期待

決算短信発表状況2015年3月期

東京証券取引所から3月決算会社について、平成27年3月期の決算短信発表状況の集計結果が公表されました。

平成27年3月期決算短信発表状況の集計結果について(東京証券取引所)

詳細は上記リンク先のPDFをご覧いただくとして、今回は決算早期化の動向を見るために、土日祝日が同じカレンダーを持つ決算期との比較を行いました。平成27年3月期と同じカレンダーを持つのは、6年前の平成21年3月期です。

平均所要日数は39.8日

外部向けの財務報告である決算短信は、決算早期化の指標の一つとして利用されることが多く、中でも母集団の多い東京証券取引所の3月決算会社の発表状況は上場企業の代表的な姿と言えます。

平成27年3月期において、決算日から決算短信発表までに要した日数の平均、すなわち平均所要日数は39.8日(前年同期39.3日)でした。平成21年3月期が39.9日ですので、6年前とほぼ同じ水準です。この平成21年3月期は、初めて平均所要日数が40日を切った年なのですが、その後は横ばい状態が続いています。

以前、当ブログでも一般に業績が向上している企業の月次決算状況を見てみると早期に完了させていて、これによって決算早期化が迅速な意思決定に良い影響を与えていると推認できるという記事を書きました(関連記事-決算早期化のメリット(マネジメントプロセスの高度化))。しかし、このような動向を見ていると、決算短信を早期に発表することが、内部管理目的から決算早期化を推し進めるインセンティブにはなっておらず、IRの観点や同業他社の決算発表の動向をみて判断されるケースが多いようです。

5月における発表日の集中はやや緩和

このように、平均所要日数は変わらなかったのですが、日別の発表会社数を見てみると、この6年で変わった点があることに気付きます。平成21年3月期は5/15に発表が集中し433社にのぼっていましたが、平成27年3月期は5/8から5/15まで分散されています。これまでは取引所からの要請である45日以内開示に合わせて5/15よりに発表日が集中する傾向がありましたが、ピークが分散されています。

この最集中日の山が崩れる状況は、前期平成26年3月期の分析でも見られました。同じカレンダーを持つ平成20年3月期との比較では連休明けの2日目から5/15にかけて分散されています。背景には当該東証の資料には、前期から(統計上は前々期から)加わった大証の影響もあると考えられます。ただ、従来から5/15に向けて準備していた会社が少しずつ早くなってきたというのもあるかもしれません。

先日、3月決算会社で5月に決算発表している上場企業の経理部長の方とのお話でも、同業他社が前期より〇日早く発表した、来期はいつ発表するか気になっている(やはり同業他社の決算発表の動向をみている)という話題がでました。

なお、東証は最集中日における発表会社数は減少したものの、依然として特定日への集中傾向が見られるとして、継続して集中緩和への協力依頼をしています。

早期発表会社数は増えるのか

決算日後30日以内に決算発表を行っている会社(早期発表会社)の割合をみてみると、平成21年3月期が1,781社中362社(20.33%)で平成27年3月期が2,367社中380社(16.05%)という結果でしたので、会社数ベースで6年前とあまり変わっていません(割合はむしろ減っています)。

しかし、上記の集中緩和の動向から、もしかすると、潜在的により早期に決算発表をしたい会社はまだあるのかなとも思いました。きっかけは外部要因かもしれませんが。

次回、平成27年3月期と純粋に比較することができる(=同じカレンダーになる)のは東京でオリンピックが開催される2020年の3月期(平成32年3月期)です。5年で変わったこと、また、変わらなかったことあるのでしょうね。

拙著「決算早期化のテクニック(中央経済社)」では、今回ご紹介した東京証券取引所3月決算会社の過去20年の分析をコラムに収録しています。

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Akiyoshi KANEKO

業務プロセスを可視化(モデル化)し、その可視化されたドキュメントを中心においてプロジェクトを推進するアプローチを提唱している。経理・財務分野を主な専門領域として、業務プロセスの改善やシステム構築、組織体制の整備に関するコンサルティングに従事。プロジェクト現場では、「お互いの仕事を理解する」「現状の課題を共有する」「考えていることを相手に伝える」「新しいしくみを共有し実行まで落とし込む」よう関係者間の橋渡し役として活動する。著書『内部統制評価にみる「重要な欠陥」の判断実務』『阻害要因探しから始める決算早期化のテクニック』
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