グローバルレベルのシェアードサービスの最終目標は規模の活用と競争上の優位にある

前回のエントリー、SAPジャパンが主催するセミナー「グローバル競争力強化に向けたファイナンス組織/業務の変革~企業のグローバル化を経理・財務が支える~」の続きです。セミナー後半はSAPジャパンのCFOを交え、パネルディスカッションが実施されました。

近年、多くの企業がグローバル化していて、それに合わせて経理財務のサービスもグローバルに対応する必要が出ています。ビジネスが外へ出る一方で、情報を集めるのに苦労し、これまで以上に経理ガバナンスを強化する必要性を感じているCFOも多いと思います。そのような中、シェアードサービスが唯一の解であるとは言えませんが、「グローバルな規模で経理業務を標準化できれば、シェアードサービスも競争優位となる」という主張をパネリストのコメントから感じました。

(以下、メモ)

<ビジネスサイドにとってシェアードサービスの立ち位置>

  • ビジネスサイドに価値ある情報を提供する
  • 企業の成長、意思決定の支援を強化する
  • ビジネスサイドが事業に専念できるようにする
  • シェアードサービス組織をビジネスパートナーとして位置付ける

<シェアードサービスが実施・推進すべきこと>

  • 優先事項はコスト削減、そのための標準化、簡素化、自動化
  • 生産性を引き上げる
  • コンプライアンスの遵守
  • テクノロジーを活用すること(ERP、BI)
  • 解放された時間で付加価値を提供する
  • プロセスを管理する
  • 顧客に対するサービスの拡充、期待を越えるサービスをする(ビジネスの成功へも繋がる)

<標準化の推進>

  • 標準化は概念として賛成するが自分の仕事は変えたくない、皆が自分に合わせてくれればいい、うちの事業では適合しないといった声は多い
  • トップダウンで進める、成果を示す、信頼を得る
  • 一方で、ビジネスのニーズにも合わせなければいけない
  • 小規模の会社の独自のプロセスが犠牲になることもある
  • 標準化は妥協しなければいけないこともある
  • 適用できないことも。しかし標準化のメリットは説明しなければならない
  • 例外として残す基準は、なぜこれが例外なのか、これを残すことでどんなバリューがあるのか、ビジネスへの貢献があるのか、正当化できるかを説明できること
  • ビジネス側がよりいい考えを持っているかもしれないので聞く耳をもつこと
  • 標準化をしたとしてもそれに固執しないこと

<トップマネジメント層の役割>

  • Cクラスの人たちのメッセージ、コミットメントが重要
  • 会社全体の変革であることのメッセージ、イニシアチブをとることが大事
  • 変化に対する連帯意識が育ってくる
  • やるかやらないかではなく、やるしかないという意識付けが大事
  • 経理財務の問題ではなく、企業全体の課題であって、それができないと成長しないという意識をもつ

<委託会社(国)のCFO>

  • シェアードサービス組織の責任者と信頼性を築く
  • 透明性を確保する、KPIを設定する
  • 必要があればアクションプランをつくる
  • コミュニケーションをとる
  • シェアードサービス化に抵抗するのではなく、コーポレートが用意したソリューションを活用する
  • シェアードサービス組織のアンバサダーとなる
  • ルーチンワークでないことにより時間を使う

<標準化したプロセスの維持>

  • プロセスオーナーの役割が大事
  • 品質の監査をすること
  • 担当引き継ぎでプロセスが意図しなくても変わっていく
  • 遵守されていなければトレーニングする
  • またはより良いやり方であればそれを標準とする

<人、キャリアパス、モチベーションのケア>

  • P&Gではシェアードサービス組織の人員は500-800人
  • 組織階層は3レイヤー
  • コーポレートのトップになれる人は限られる
  • 色々な仕事を経験できる、幅を広げるようにすることでモチベーションを維持する
  • トレーニングプログラム、表彰制度を導入する、昇給・昇進以外のものを提供する
  • 離職率を下げるのが目標
  • 人の交流、事業会社へ行ってまたシェアードサービス組織に戻ってくる