ケンコーコム「SAPクラウド化、オンプレにはない利点と課題(ITPro)」より

ECサイトで健康関連商品を販売するケンコーコムが、全社のシステムをオンプレミスからクラウドへ移行した記事がITProで掲載されました。出典元は日経SYSTEM2013年7月号ですが、当時、国内初のSAPクラウド化の事例として紹介されたものです。記事は当時の情報ですので、現在のケンコーコムの状況と異なると思いますが、個人的な備忘録を兼ねて概要とクラウドを利用したメリットを整理しておきます。

国内初のSAPクラウド化、オンプレにはない利点と課題(ITPro)

AWSを選定した理由

ケンコーコムでは東日本大震災直後に本社機能の一部を東京から福岡へ移転した際、基幹系以外のサーバー50台も移動しましたが、サーバーの移行先にはAWS(Amazon Web Services)を採用しました。

選択肢としては、次の2つがありました。

  1. クラウドサービスを利用する
  2. データセンターを福岡へ移す

会社が1を選んだのは、移行にかかる時間が短いというのが最大の理由だったとしています。2においては、東京に設置していたサーバーを物理的に福岡へ輸送するには移設だけで数日かかり、また、新規にサーバーを調達してデータを移行するにはコストが高い、というのがデメリットでした。

クラウド移行対象

基幹系システムをAWS上で稼働させるにあたり、すべてのシステムをAWSに移行するのが基本方針でしたが、次のような例外がありました。

  1. 特殊なプラットフォームを使っているシステム
  2. 特殊なデバイスに接続する必要があるシステム
  3. 電話回線の通信モデムに接続しているEDIシステム

1は販売管理システムや各種マスタが該当しましたが、それらをAWS上へ移行するにはアプリケーションの大幅な作り変えが必要でコストがかかることがネックとなりました。また、2は倉庫管理システムが該当しましたが、そこで使用するハンディスキャナーのバーコード読み取り速度の低下が懸念されたそうです。

セキュリティ

AWS内に独立したサブネットを構築できる「Amazon VPC(Virtual Private Cloud)」の機能を使ってオンプレミスのシステムとVPN接続し、また、「セキュリティグループ」の機能を使って通信可能なサーバーを制限して外部からのアクセスを排除したとしています。

オンプレミスのシステムとの連携

基幹系システムであるために、データを確実に送受信させる必要があったことから、オンプレミスのデータセンターからHULFT(ファイル転送ソフト)を使ってデータを送り、AWS上のDataSpider(データ変換ソフト)に取込み、SAPの標準インタフェースであるBAPIにデータ変換して、SAPへデータを送ることで対処したとしています。

その他クラウドを利用したメリット

会社によれば、その他クラウドを利用したメリットは次のようなものをあげています。

  • AWSでは本番と同じテスト環境を簡単につくることができる(ハードの制約を受けない)
  • 本番稼働後に試行錯誤してスペックを変更することができる
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Akiyoshi KANEKO

監査法人に勤務。組織内では、テクノロジー・ソリューションの企画・開発、構築局面における推進、運用局面におけるサポートの統括を担当。AWSの仮想デスクトップサービスであるWorkSpacesとGoogleのChromebookを組み合わせたセキュアなデスクトップ・ソリューションの構築を始め、様々なクラウドサービスの導入を推進。顧客企業向けに、マネジメント系のコンサルティング業務にも従事。