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ここ数か月の間、事業者向けのマイナンバー対応を支援する仕事に取り組み、個別コンサルテーションやセミナー(含むDVD制作)を中心とした活動も一区切りしたところです。

もっとも、私個人のマイナンバーへの関わりが、主に制度対応準備に向けた事業者向けのサポートを考えていたので一区切りと申しているだけで、制度そのものはこれからが本番を迎えます。

ただ、このマイナンバー制度、もうすぐ個人番号の通知が始まるという段階にもかかわらず、いまだに認知度の低い制度となっています。

政府広報による周知のための活動も影響は限定的で、むしろ日本年金機構の情報漏えい問題や消費税増税時の軽減ポイントなどのような外的な要因が引き金となってマイナンバーが取り上げられて皆が意識するというのも皮肉です。

私が関与しているマイナンバーに関する情報提供や活動の詳細は、『マイナンバー対策準備室』のWebサイトFacebookページを通じてお伝えしていますので、当ブログではここ数か月で感じた個人的な雑感を残しておこうと思います。

今回は事業者のマイナンバー対応に求められるスキルとして”情報を収集し、選択して、それらを整理するスキル”について解説します。

情報を収集し、選択して、それらを整理するスキルが求められる

私たちがマイナンバーに関する知識を得ようと思えば、内閣府など各関係省庁をはじめとする機関からWebサイトを通じて色々な情報が提供されており、容易に入手することができます。

ただ、事業者内で制度対応を主体的に進める人にとって、これらのサイトを通じて学ぼうとしたときは、学びにくさを感じた人も多いと思います。

一言でいえば“事業者にとって必要な情報が体系的な形で提供がなされていない”のですが、どのぐらいの情報発信主体をフォローしなければいけないのでしょうか。

個人番号の監督機関

例えば関係省庁における個人番号の制度は次のような所管になっています。

内閣府
  • マイナンバー制度の法律の整備(番号法ほか)
総務省
  • マイナンバーの通知
  • マイナンバーの利用促進
  • 個人番号カード
国税庁
  • 法人番号
内閣府・総務省(共管)
  • 情報提供ネットワーク・マイナポータルなど情報連携基盤
特定個人情報保護委員会
  • 特定個人情報の取扱いに関する監視・監督
  • 特定個人情報の情報保護評価
  • 特定個人情報の保護についての広報・啓発等

事業者にとっては、特定個人情報保護委員会から提供される事業者向けの広報資料やガイドライン(QAを含む)を中心に、制度全体の背景を含めて理解するためには他の監督機関が提供する情報をフォローする必要があります。

個人番号利用事務実施者

また例えば、個人番号の利用事務実施者をみてみると、事業者と関係の深い主体には、主に税務署・年金事務所・健康保険組合・ハローワークがあります。

個人番号を利用する場面のうち、税関係と社会保険関係の事務手続や提出書類の様式などについては、税務署を指導監督する国税庁、健康保険・雇用保険・年金事務といった社会保障分野を統括する厚生労働省がそれぞれのサイトから情報提供をしています。

事業者が法令の定めにより個人番号を利用する特定の事務の詳細は両機関の情報をフォローする必要がありますね。

これら様々な主体による情報提供の結果、マイナンバー制度という大きなパッケージで包み込まれているものの、事業者自らこれらの機関より提供される情報を収集・選択・整理をしないといけません。

しかし、事業者向けの情報がワンストップで提供されていない点で、さらにはこれら提供される情報の更新も多い点(中にはサイトURLの変更などサイト構成を含む更新もあり)で情報収集作業が非効率になりがちです。

非効率という中には、単にフォローすべきサイトが多いというだけでなく、似たような情報が同一また複数の機関から提供されているため情報収集としては重複する作業になってしまったり、逆に自分に必要な情報がどこのサイトのどのページにあるのか探すのに時間がかかってしまったりする時間のロスも含みます。

加えて、マイナンバーに関する国民向けの広報活動も並行してい行われています。

Webサイト以外に例えば、ツイッターや地方公共団体のポスターの掲示、テレビCM、新聞広告、スポーツ紙、週刊誌など、広範囲かつ積極的に行われています。

これらも含めると国民への周知を意図した一般的な内容から、事業者向けのもの、利用機関など特定の組織に向けたものが混在していることになります。

事業者の中で制度対応をしなければいけない人にとっては、「通知される個人番号の持ち主としての立場」と「事業者の中で他人(従業員や有識者・個人株主など)の個人番号を利用する立場」とが混然としてしまうかもしれません。

マイナンバーに関する情報提供主体の特徴を踏まえると、事業者内で制度対応を図ろうとする人は、『情報を収集し、選択して、それらを整理するスキル』が求められているといえるでしょう。