企業が自ら上場廃止を申請するということ(メビオファーム)

Personal finance

日本には2008年の金商法改正で開設が可能となったプロ投資家向け市場というものがあります。東京証券取引所のTOKYO PRO Market等がそれです。3月27日このTOKYO PRO Marketに上場しているメビオファーム株式会社が、上場廃止の申請をすることを公表しました。

当初の期待と実際のギャップ

この市場で取引される株式や債権の発行者は、既存市場における上場株式等の発行者とは異なり、有価証券報告書、内部統制報告書などの開示書類の提出が不要(取引所規制の情報開示のみ)となっています。理由は詳細な投資家保護規定による保護を受けなくても、自らの責任で投資判断を行える機関投資家等を対象としているからです。

このプロ向け市場の創設は、当初、開示書類の作成や監査を負担に感じる新興企業による資金調達の道を開くのではないかという期待がありました。しかし実際には金融危機とその後の資本市場の低迷もあり、上場時の資金調達がなかったり、株式の流動性も低く、当初想定したとおりに市場が機能しているとは言えない状況でした。

上場廃止申請の目的と理由

メビオファームの開示資料によれば、上場廃止申請を行う目的と理由を次のように説明しています。

・・・そのために、本市場の制度を利用して非上場化した上で、事業を自由に展開するのが望ましいと考えました。この選択は、将来的には当社の経営や事業の進展に大きく寄与し、ひいては株主価値の最大化が図れるものと考えております。・・・
(「TOKYO PRO Market における当社株式の上場廃止申請及び臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ」より引用)

すなわち、

  • 目的は「株主価値の最大化を図る」こと
  • 理由は「非上場化することによって、事業を自由に展開することができるので、将来的に会社の経営や事業が進展する」から

ということのようです。

メビオファームの事業は、抗がん剤の製品化を目指すための臨床試験、新しい診断薬開発など多額の資金が必要ですので、マザーズやJASDAQなどへの上場を目指すかどうかはわかりませんが、ベンチャーにとって流動性が乏しく、資金調達もしにくい市場は上場しているメリットがないという判断もあったと思います(もちろん、上場により知名度は向上したはずですので、まったくメリットがなかったわけではありませんが)。

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Akiyoshi KANEKO

業務プロセスを可視化(モデル化)し、その可視化されたドキュメントを中心においてプロジェクトを推進するアプローチを提唱している。経理・財務分野を主な専門領域として、業務プロセスの改善やシステム構築、組織体制の整備に関するコンサルティングに従事。プロジェクト現場では、「お互いの仕事を理解する」「現状の課題を共有する」「考えていることを相手に伝える」「新しいしくみを共有し実行まで落とし込む」よう関係者間の橋渡し役として活動する。著書『内部統制評価にみる「重要な欠陥」の判断実務』『阻害要因探しから始める決算早期化のテクニック』
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